シートベルト・ヘルメット着用の重要性

July 11, 2022
Chalisa Masuk
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シートベルト・ヘルメット着用の重要性

[概要]

  • シートベルトの着用は運転席・助手席の事故による死亡リスクを40%、後部座席の死亡リスクを70%低減することができます。
  • ヘルメットの着用により、運転手の死亡率を43%、同乗者の死亡リスクを58%低減することができます。
  • 2022年9月5日から子供が乗車する場合のチャイルドシートの使用が義務化され、違反した場合には最大2,000バーツ(約7,700円)の罰金が科されます。
  • 乗車時のシートベルトの着用・バイク使用時のヘルメットの着用が義務付けられており、違反した場合には400~5,000バーツ(約1,500~19,500円)の罰金が科されます。

事故発生時に体にかかる衝撃

60 km/hの速度で衝突した場合、運転手には14メートル(約ビル5階)の高さから落下した衝撃力と同等の力がかかるとされています。運転中、搭乗者のスピードは車両の速度と同じになるため、シートベルトを着用していない場合、頭部・顔・体はハンドルやフロントガラスに激突し、意識不明の重体、あるいは死に至るおそれがあります。

ヘルメットを着用せずにバイクで事故に遭った場合、遠心力により頭部が地面や周囲の物に衝突し、重傷の原因になります。頭部の傷から大量出血を起こす可能性があり、外傷を負わなくても、激しい衝撃により脳挫傷や脳出血が起き、神経や血管系の損傷、麻痺、脳腫瘍を引き起こす可能性があります。

シートベルト・ヘルメット着用の効果

シートベルトは搭乗者の体を座席に固定させ、エアバックシステムと連携して効果を発揮します。エアバックは頭部や胸部を正面からサポートするように設計されており、シートベルトは体を座席に固定する役割があります。搭乗者がシートベルトを着用していない場合、エアバックの効果が発揮されません。タイ王国内務省災害防止軽減局によると、シートベルトを着用することで、事故発生時の運転席・助手席の死亡リスクを40%減少し、後部座席の死亡リスクを70%減少することが可能とのことです。

ヘルメットの着用は頭部への衝撃を和らげます。頭部全体を覆うフルフェイスヘルメットの着用により、事故による頭部への衝撃を大幅に減少させることが可能です。タイ王国内務省災害防止軽減局によると、バイク搭乗時ヘルメットを着用することにより、頭部の負傷リスクを50~70%抑えることができます。また、ヘルメットの着用は頭の怪我による運転者の死亡率を43%、同乗者の死亡率を58%低減することができます。

シートベルトやヘルメットを正しく着用することで、重傷や死亡件数を減少することが可能になります。

シートベルトの正しい着用方法

シートベルトの着用方法

通常の搭乗者の場合、シートベルトは鎖骨にしっかりと固定し、誤動作を防ぐためにねじれのないように着用する必要があります。 また、急な衝撃によりシートベルトの縁で首や脇の下を負傷することのないよう、斜め掛け部分のベルトは肩の上に来るように着用する必要があります。さらに、事故時にベルトからの圧力を軽減するため、水平位置のベルトは腹部ではなく骨盤の上に来るように着用する必要があります。

 

妊娠中の方がシートベルトを着用する場合は、腹部に直接ベルトを着用しないようにすることが重要です。また、摩擦や圧力による胎児への影響を軽減するため、下腹部に枕やパッドを使用することをお勧めします。運転する場合には座席をハンドルから約10インチ(25.4cm)離すことにより、事故による負傷を防止できます。

自動車のシートベルトは身長135cm以上を対象としており、それ以下の身長の子供は適切な位置でシートベルトを着用することが難しいため、チャイルドシートを後部座席に設置した上でシートベルトを通す必要があります。乳児から12歳まで、年齢に応じたチャイルドシートがあり、安全のために適切な製品の設置が必要です。

ヘルメットの着用

ヘルメットを選ぶ際には、安全基準に準拠しているか確認する必要があります。タイ工業規格会(TISI)の認定品はタイにおける安全基準を満たしているため、選定時には右図の認定マークの確認をお勧めします。また、着用時には顎紐を顎下で締め、ヘルメットを固定することが重要です。事故でヘルメットが損傷した場合は安全性能の劣化が考えられるため、再着用は控え、ただちに新しい製品に交換してください。ヘルメットの使用期間は3年となっており、使用期間を過ぎた製品は新しいものに交換する必要があります。ヘルメットの種類は下記の通りとなり、安全のためにはフルフェイスのヘルメットをお勧めします。

  • フルフェイスヘルメット:頭部や顎を覆っているため全体を防護することができます。
  • ジェットヘルメット:フルフェイスヘルメットと同様な基準要素で構成されていますが、顎の防護はありません。
  • ハーフシェルヘルメット:頭部のみを防護するため、衝突の際に外れる可能性があります。そのため、当該タイプのヘルメットの使用はお勧めしません。

タイにおける罰則

全搭乗者(運転席、助手席および、後部座席)にはシートベルトの着用が義務付けられています。自家用車やタクシーでもシートベルトは忘れずに着用する必要があります。違反した場合には1人あたり、500バーツの罰金が科されます。また、バスやミニバンの乗客にもシートベルトの着用が義務付けられており、違反した場合には1人あたり5,000バーツ(約19,500円)の罰金が科せられます。

タイ王国政府官報のウェブサイトにて公開されているRoad Traffic Act (No. 13) B.E. 2022(2022年5月7日)によると、2022年9月5日から下記の内容が義務付けられます。

「6歳未満または135cm以下の子供にも補助椅子やチャイルドシートを使用し、同乗者全員が常にシートベルトを着用する必要がある。違反した場合、2,000バーツ(約7,700円)までの罰金が科される。」

また、バイクでヘルメット着用しなかった場合の罰金についてRoyal Thai Policeが公表した内容は下記通りになっています。

「運転者がヘルメットを着用していない場合、最大400バーツの罰金が科科される。また、同乗者もヘルメットを着用していない場合、最大800バーツの罰金が科され、合計1,200バーツの罰金となる。」

まとめ

タイでは交通事故が多発しており、死亡事故も多く発生しています。その主な要因としては、シートベルトやヘルメットの未着用や不適切な着用が挙げられます。プライベートのみならず、従業員が通勤に自動車やバイクを使用するケースもあることから、交通事故は企業としても看過できないリスクといえます。交通事故のリスクを低減するためには、シートベルトやヘルメットの重要性や正しい着用方法を従業員へ定期的に伝えることが有効です。インターリスクアジアタイランドは、ご要望に応じてバイクの安全運転研修やKYT(危険予測トレーニング)ツールを提供しています。ご興味がありましたら、是非、当社ウェブサイトからお問合せください。

参照

https://www.dlt.go.th/site/trang/m-news/6648/view.php?_did=40610

https://www.thairath.co.th/news/local/504188

https://thematter.co/brandedcontent/thaihealth-helmet-03/74440

http://roadsafety.disaster.go.th/

https://www.bangkokbiznews.com/news/1003907

https://ratchakitcha2.soc.go.th/pdfdownload/?id=139A028N0000000000500

https://www.thaipbsworld.com/kids-under-6-in-cars-in-thailand-must-be-secured-in-child-seats-from-september/

https://www.cdc.gov/injury/features/child-passenger-safety/index.html

http://roadsafety.disaster.go.th/upload/minisite/file_attach/196/5bb5e0e621c38.pdf

https://learndriving.tips/learning-to-drive/proper-way-to-wear-seat-belt/

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Chalisa Masuk