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タイの洪水発生状況

July 1, 2016

Sutiwat Prutthiprasert

FLOOD THAILAND

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タイの洪水発生状況

現在の状況

主な降雨地域は主要なダムがないタイ中央部であり、タイ北部のダム水位は増加していません。
今後しばらくの間、タイ全土において台風による影響は予想されておらず、河川氾濫による洪水の可能性は低い状況です。
排水能力が低い地域では、短時間の豪雨による内水氾濫のおそれがあります。

王室灌漑局（Royal Irrigation Department :RID）のコメント

天気予報

来週はタイ全土で雨となり、北部、北東部、中央部、南部（西海岸）では大雨となるおそれがあります。

洪水発生状況

バンコクの内水氾濫

6/21にバンコクの主要道路であるLat Phrao Road 、 Ratchadaphisekが冠水し、交通渋滞が発生しました。Bangkok Metropolitan Administration（BMA）によれば、冠水の原因は、排水溝に5tにも及ぶゴミが詰まっていたためとされています。また、Ramintra road周辺ではいくつかの家屋で浸水被害が発生しました。浸水深は1～1.5mであり、これは2011年に発生した冠水と同程度の深さです。

（情報元）

http://thaiflood.kapook.com/view150941.html

http://thaiflood.kapook.com/view150912.html

http://floodlist.com/asia/thailand-bangkok-flood-june-2016;

http://www.bangkokpost.com/news/general/1015913/heavy-floods-hit-parts-of-bangkok;

Bang Poo Industrial Estateの内水氾濫

6/22にSamut Prakan県のBang Poo Industrial Estateで排水能力を超える豪雨により内水氾濫が発生し、工業団地内および周辺の道路が15～40cm程度冠水しました。この影響で、いくつかの工場では従業員が出勤できず、操業を停止しました。

（情報元）

http://www.bangkokpost.com/news/general/1016905/flooding-forces-some-bang-poo-factories-to-close

ダム水位（チャオプラヤ水系主要ダム）: http://www.waterforthai.org/th/dam-report

主要ダムの水位は増加しておらず、総貯水容量に対する貯水量の割合は、Bhumibolダム：30%、Sirikitダム：37%、Kwae Noiダム：26%、Pasak ダム：19%となっています。

降水量: http://www.arcims.tmd.go.th/dailydata/MonthRain.php

【6月降水量】6月の初めからタイ全土で降雨があり、特に南部（西海岸）、北部、北東部、東部の一部では300mm以上の累積降水量が確認されています。【平年値との比較（6月）】南部（西海岸）を除く多くの地域で、平年降水量より100-200mm程度少ない状況です。【1～6月累積降水量】1～6月の降水量はタイ全土で300mm以上に達していますが、多くの地域では平年より降水量が少ない状況です。

月間天気予報（6月）: http://www.tmd.go.th/monthly_forecast.php

地域	降水量	降雨日数	最高気温	最低気温
北部	160-200 m	17-20 day	32-34℃	24-26℃
北東部	90-230 mm	16-19 day	33-35℃	24-26℃
中央部	140-180 mm	15-18 day	33-35℃	25-27℃
東部	250-300 mm	6-19 day	32-34℃	25-27℃
南部（東海岸）	100-140 mm	13-16 day	32-34℃	24-26℃
南部（西海岸）	300-400 mm	18-21 day	31-33℃	24-26℃

チャオプラヤ水系の河川水位（チャオプラヤダム上流）: http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/

いずれの観測地点も”Normal（洪水危険なし）”の状態です。

チャオプラヤ水系の河川水位（チャオプラヤダム下流）: http://water.rid.go.th/flood/plan_new/chaophaya/

いずれの観測地点も”Normal（洪水危険なし）”の状態です。

Thailand Water Management Forum 2016

2016/6/20にSiam Cement Group (SCG)、Utokapat、Thai Journalists Association (TJA)の主催で、Thailand Water Management Forum 2016が開催されました。当フォーラムは、タイにおける水資源管理の転換と革新を目的としたものです。

タイは、渇水、洪水の両面で水資源に関する問題に直面しており、長期的な管理手法について検討し、確立する必要があります。灌漑が行われている地域が全農業地域の20%に止まっていること、タイの北東部は貯水能力が極めて低く降水量の3%相当であること、タイの農業は近隣諸国と比較して水の消費量が多いことなど、水資源管理に関する課題は多岐に渡っており、降水量は多いものの、貯水と消費の管理に苦心しています。

当フォーラムでは、水資源に関する3つのテーマ（供給、需要、管理）について議論が交わされました。以下にそれぞれの概要をまとめます。

供給

水資源の供給については、タイ北部の上流域だけでなく中流域においてもダムや水門を活用して供給量をコントロールする必要があります。また、河川や運河の浚渫によって流下能力を向上する必要もあります。下流域では多くの降雨があるにもかかわらず、渇水や海水の遡上による影響を受けています。

消費

水資源の消費は今後増加することが予想されるため、消費量を削減する必要があります。当フォーラムでは、水資源の適切な消費と、「水利用税」の導入による利用料金の引き上げについての議論がありました。

管理

水資源の管理については、今後、以下の項目が必要となることが確認されました。

・現状において必要な貯水量を把握すること

・それぞれの土地利用に対して貯水および水資源の消費に関するガイドラインを制定すること

・流域の水資源管理マップを作成すること

・灌漑地域の長期管理計画を作成すること

・4～5年ごとに水資源管理に関する方針と予算を更新し推進する政府組織を立ち上げること

現在、タイの水資源管理はアドホックな対応となっており長期的な計画はありません。今後は全体を俯瞰した管理計画の下で、政府、民間会社、ステークホルダー、地域社会が相互に協力して、問題の解決にあたることが望まれます。

技術情報: Water news application: http://www.thaiwater.net/v3/research

NHC (National Hydro-informatics and Climate Data Center) が開発したアプリケーション（Thai Water）では、最新の洪水発生状況と注意情報を入手することが可能です。当アプリケーションは河川水位、ダム水位、台風予測に関する情報にもアクセスできますので、特に洪水リスクが高い拠点においては、防災活動の一環として同アプリケーションを活用することをお勧めします。